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  建築家のコラム
ふたりで家を
02-2 予算が決まらなければ、始まらない!
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●古い家での暮らしながらの設計業務
突然建設地の古い家に戻ることになった時は「運悪く」と思ったが、
古い家に暮らしながら設計をはじめてみると、
実際の敷地に住みながら考える時間を持てたことは、
本当に運が良かった、と思えるようになった。
一日の陽の当たり方や周りの騒音、
前の道を行く人の往来の程度もよくわかり、
新しく建てる家のイメージがより具体的になる。
敷地はほぼ正方形の55坪、1種低層住居専用地域。
庭には父と母が植えた欅(けやき)、百日紅(さるすべり)、
幼かった妻のために用意してくれた
クリスマスツリーの樅(もみ)の木などが、
庭木としては「大木」と言えるくらいに育っている。
見ていると、幼かったころのかけがえのない思い出がよみがえる。
これらの木をシンボルツリーとして残せないだろうか……。
そして、子供時代の思い出が残るこの土地に、
私たち夫婦が快適に生活でき、 車1台、夫の大切なバイク1台、
学生時代に買ったおそろいの自転車2台がきちんと置けて、
念願の犬も飼えて、 何よりも 私たちの小さくて大切な仕事場を備え、
将来の家族の変化も多少は考えた……
そんな家を建てよう。
でも、忘れてはならないのは予算。
仕事場を備えることを考えると床面積は35坪くらいは欲しい。
だとすれば予算内に納めるために、
家の形はできるだけ単純な形状じゃないと―。
こうして、夢と現実の狭間で苦しみつつも、
約半年間にわたって私たちは何十通りもの
ラフプランを作り、 試行錯誤を重ねた。
ふたりで一緒に書き込んでいったスケッチの枚数は、何百枚にもなった。
その中から、ようやく1つのプランに絞り込み、
工事を頼む工務店との打ち合わせをはじめた。
敷地の東側にカースペースを取り、住まいは西側配置するプランだ。
ところが、この段階になって、妻の心の中には、
「本当に、このプランでいいのだろうか」
という 疑問がむくむくと膨らんできた。
心のどこかで、「施主」として大きく膨らませた夢を、
「設計者」としての自分たちが
小さくたたみ込んでしまった感じが拭い去れなかった……。 |



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