  建築家コラム
建物としての総合力、そして自然素材
泉 幸甫/泉幸甫建築研究所
建物は、満遍なくよくても、どこかひとつでも弱点があれば落第です。
体でいえば、心w臓をはじめどこも悪くないのに、肝臓だけがダメ、では健康でないのと同じです。
設計には総合力が必要です。
地震に強いこと、耐久性があること、生活するうえでのプランが良くできていること、もちろん収納もちゃんとあり、
日当たりや風通しも良い、さらに美しい家であることなど、たくさんの要件のうえに成り立っています。
また、施主の一生に一度の大金を掛ける工事を問題なくスムーズに完成させるには、全体を冷静に見回し、
人や工事を統率するパワーも必要です。このように、設計から、建物ができあがるまでの総合的な力量が
問われる仕事なのです。
しかし、何か敢えて私の建物の特徴を挙げるとすれば、よく自然の素材を使うことでしょう。
木や土、紙、石などの自然素材でできた建物の心地よさは、他に替えがたいものがあります。
見た目の優しさはもちろん、肌ざわりのよさ、湿度の調整、心地よい音の響き、嫌な臭いがないことなど、
人間が生物として本来もっている五感に働きかける抜群の力があります。
しかし、そのような家をつくるには、一朝一夕にしてできるほど簡単なものではありませんでした。
いまの時代に自然の素材を操るには、新しい技術の開発、素材の入手ルートの確保、職人仲間を育てる、
というたゆまない努力の積み重ねのうえに成り立つことでした。
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