子どもの頃、かくれん坊をした。思いも寄らない隠れ場所を見つけたときは嬉しかった。
フランシス・バーネットの「秘密の花園」は、ストーリーこそ思い出せないけれど、
誰も知らない隠された世界の物語にどきどきしたのを覚えている。
で、我が家には隠し部屋がある。
写真の部屋は半地下の書斎。左手の壁に本棚がある。
これがじつは壁の奥にあるもう一つの部屋への隠し扉。
扉に見えないことが大事と本棚にした。
棚に手を掛けて手前に引くともう一つの書庫が現れる。
中は単なる書庫。でも、これがあるだけで嬉しい。
設計をしてくれた室伏さんは説明してくれる。空間そのものが物語性をもつ、と。
これが生まれたのは地下改装の時だが、あれから10年たっても、
なぜかそれがあると思うだけでも嬉しい。
ある種の幻想の感覚が心をくすぐる。
友人が遊びに来たとき、この扉を開ける。
驚くときの顔を見るために。
(設計 室伏次郎)