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 『湘南のアトリエから』

written&photo by 江口征男

 02 『看護婦足音フェチ』の話


初めての入院を経験したときのことです。

医療や福祉の現場での不祥事がたびたび報道されます。
医療過誤や、病気の困窮した老夫婦を見殺しにした行政の福祉担当者などの問題です。
そんな話を聞いていたので、多少の不安を感じていたかもしれません。

スケッチしかし、その病院(藤沢市民病院)の職員はよく訓練されていて、
担当医師の申し分のない
インフォームドコンセントをうけることができました。
そしてもっとも感心したのは、
看護士(婦)さん達の見事な働きぶりでした。
ナイチンゲール精神は健在でした。
たまたま福祉部門に配属された(のであろう)
くだんの“福祉意識皆無”の職員と違って、
職業を選んだ動機が明らかに違う(であろう)ことを感じたのです。
厳しい勤務条件のなかで、わがままな患者達にも笑顔で世話をしている姿には心を打たれます。泣かされます。
深夜、廊下を足早に動きまわる夜勤看護婦の姿は感動的です。
サッサッサッと足音が近付いてくると、手術したばかりの頃はとても心強く感じたものです。
ぼくはどうやら『夜勤看護婦足音フェチ』になっていたようです。

“職業意識皆無”の設計者や施工者がつくる欠陥住宅が報道されたからといって、
建築界全体がそうであるはずがないことを考えたら、
これが医療の現場の正常な姿なのかもしれませんね。

ともかく、彼等はもっと報われるべきだとつくづく感じたと同時に、
建築家と建築主の関係について改めて考えさせられたのでした。


 
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