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 『工夫のClip Board』

 19 何を求めて・・・


木の家を建てたい・・・。
じゃぁ、どんな感じのもの?

自然素材を使って、健康に過ごせて、太陽の光や自然の風を利用して、そうそう雨水もね、
それから地震にも強くって台風にも負けなくって、長持ちしてお手入れしなくていい家にして欲しい・・・。

ん?
んーーーん?
最後のお手入れしなくていい家って言うのはともかくも、
ほかの要望って言うのは、ごもっとも・・・というものだ。
でも、このような要望を掲げているにもかかわらず、

梁にひびが入っているけど、家が傾くんじゃないか?
床と壁の見切りになる幅木との間に隙間があるけど、床が傾いているんじゃないか?
漆喰壁にひびが入ってきたし、柱との隙間が空いてきた、
壁が落ちやしないか?・・・・・・・
etc、etc

心配事を並べたらきり無く出てくることがある。
確かに何の説明も無く家を造り、引き渡してしまう側にも問題がある。
・・・・が、ここでちょっと考えて欲しい。

木の家が欲しいのだ。
自然素材のものが欲しいのだ。

木はかつて生き物だったものだ。 
それを伐採し、製材し、素材として使われるのだ。
素材となってもわずかな水分を帯びて呼吸をしているのだ。
ひび割れも起こすし、収縮もする、反ったりもするのだ。
柱1本1本性質だって違うのだ。 
どの場所を切り出した素材なのかによってもまったく違う。
そうした木を、職人と呼ばれる大工さんたちが、見極め、
昔から伝わる知恵で長所を生かし、欠点を補い、使いこなしていく。
工場で出来上がったプラスチック製品とは違うのだ。
だから、木の家が良かったり、自然素材にこだわったりするなら、おおらかな気持ちで家と付き合わなければ、
心配事ばかりが募り、せっかくの家も心地よい空間ではなくなってしまうのだ。
(ここで間違えないで欲しいのだけど、どんなひび割れも、絶対大丈夫だ、
といっているのではないのですよ。)

などというと、新建材を次々と出している業界の方々にお叱りを受けそうだが、
自然素材を好むということはそういうことではないだろうか?
自戒を含めて、造り手も住み手も、もう一度、
木の家とは何ぞや、自然素材とは何ぞや、自分たちには何が必要何や?
ということから始めなければならないのではないだろうか?

太陽や風を利用しよう・・・これにしても同じようなことが言える。

太陽の暖かさを利用しようと蓄熱帯を造る。
けれど晴れの日もあれば、雨の日だってあるわけで、少しずつ蓄えた熱で、
ほんのりと暖かさを楽しもうというものだ。
これだけの暖かさでガスや石油の暖房設備と同じだけの暖かさを得られるわけではないのだ。
風にしてもしかり。 外の熱い空気が木陰をすり抜け、家々の間をすり抜けて、
部屋に入ってくるちょっと暖かいかもしれない風に涼しさを感じる・・・
これが自然の風を利用して感じる涼しさではないのか?
(ちょっと、大げさかな?でも、そのくらいの気持ちでいて欲しいということなんですよ。)

自然のエネルギーを利用する家を造る為に、多額の設備費を投資して、住み始めれば、
冬はTシャツ1枚で過ごせる暖かさまで暖房を駆使し、夏は、薄物1枚羽織るほど冷房している家がある。
これでは、設備に何重にも投資した上に、省エネのつもりが、もっと消費してしまうことになってしまう。
わずかな水分を保有して呼吸をしている木の家は、この過度の冷暖房により仕口までも傷めてしまうことになる。
強いては、構造にも影響を与えてしまう可能性もあるのです。

自然の恵みを受けて生活することは、自分の身を自然の中に置くわけで、自然との共存となるわけであるのです。
自然は優しくもあり、厳しいものです。
木の家に住みたい、自然素材をたっぷり使った家に住みたいというならば、
自然に自分たちを合わせていく努力も必要なはず。
そして、生き物である木の家は、人の手入れによって、初めて長持ちする家となることを覚えておいて欲しい。

こうしたお互いにお互いを支えあっていく努力をすることで、日本の雨の多く、湿度が高いといった
気候風土に長年耐えることができ、身に馴染み、優しく包み込んでくれる家となっていくはずです。

今、何を求めてどんな家を建てるのか、またはリフォームしていくのか、
合理性、利便性が第一ではなく、もう一度考えてみて欲しい。
もちろん、それが第一という人もいるだろう。
それはそれでよいと思う。
ただ、本当に木のぬくもり、自然を求める人にとってはどうだろうか?
もう一度、自分の望む”家”を見直してみよう。
自分自身の、自分自身のための共に過ごすための家を・・・・・。


 
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