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 『9坪の家フォーラム』 written by 萩原修&萩原百合


 003 「こども部屋」


修さん 百合さん フォーラム
  15坪の?こども部屋
15坪の?こども部屋
私が高校1年の時だった。
老いた両親と同居することに決めた父は、これまでの借家住まいに終止符を打ち、
自邸を新築した。

「みんな、自分の部屋がほしいか?」
父にそう訊かれて、私はためらうことなく「ほしい!ほしい!」と返事した。
4つ年上の姉も、目を輝かせて頷いている。

希望通り、私の部屋は洋室だった。
畳よりフローリング。ラジオから流れるのは米軍放送。
壁に飾るポスターは外国人モデル、と決まっていた。
黒いピアノと、憧れのベッド。
ばかでかいステレオと、小学校入学以来使っていたスチール製の勉強机。
それだけ置くと、足の踏み場もなかった。

その後、私は殆どのモノを置いたまま、この部屋を出ていた。
就職のため、単身上京したからである。
7年間過ごした私の部屋には、いつの間にか父のパソコンやプリンターが置かれ、
小学生用の勉強机には不釣り合いな灰皿までが侵入していた。
老夫婦二人暮しとなった今、その部屋は格好の物置き場と化している。

ところで、スミレアオイハウスには『こども部屋』がない。
「自分は『こども部屋』をゲットしたのに、ずいぶん勝手だね」
娘たちの声が聞こえてきそうである。

自分の好きにできる部屋がほしい、と思う気持ちはわかる。
でも、そう思うのはこどもに限らない。父も母も同じ。
誰だって、家に自分の居場所がほしいのだ。

建坪9坪、一部吹き抜けという小さな家を建てる時、
私たちが一番大事にしたかったのは細切れの部屋ではなく、
この空間そのものだった。
壁で区切らなくていいから、その代わり、何らかの方法で
住人それぞれのテリトリーを確保したい、とだけ思った。

つかみどころのない自由な空間は、どうとでも解釈できて不思議。
ある時は、すべてが『こども部屋』であり、またある時は私の『書斎』にもなる。

ここでは、みんなのものであるはずの空間を、
住人の誰もが自分の部屋のように使っている。

ある時は、すべてが『こども部屋』であり、またある時は私の『書斎』にもなる。


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