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「ひとつでもエアコンがあれば、重宝するのではないか?」
それくらいの軽い気持ちで、畳の間の壁に、エアコンを取りつけることにした。
そもそも、エアコンをつけるかつけないか検討することになったのは、
どうやって夏の暑さをしのぐかが話題にのぼったからである。
確かに、南の壁面3分の2が開口部、おまけに日差しを遮る庇がないとくれば、
これはもう、どうしたって暑くなるはず。
ただ、巨大な窓を開け放して使った場合は、どうだろう。
改めて、家の図面を見る。と、東西南北穴だらけの家なんだな、これが。
ともかく、これだけ抜け道があれば、風通しはいいに決まっている。
もしかすると、エアコンを運転させなくたって何とかなるかもしれないゾと、
その時は思った。
部屋がどの程度暑くなるかなんて、設計の段階で予想するのは難しい。
さて、現実の生活はいかに。
「夏は暑いのが当たり前」と覚悟はしていたけど、大きな窓を通して入りこんでくる
太陽熱は、想像をはるかに越えた厳しさであった。
特に、吹き抜けのある2階は、尋常ではないアツさ。
熱気は2階全体に充満しており、何もせず、おとなしく座っているだけで
汗がどっと噴き出してくる。
初めて迎えた夏は、「この強烈な熱を、どうやったら押さえられるか」
ということばかり考えていたのだった。
ところが、1年経過した翌年の夏、事情は変わった。
住んでいる人間の体が変化したのか、
無風状態の日は別として、少しでも風が吹いていれば、
室温35度の中でもさほど気にならなくなっていたのだ。
一度経験した夏を、体がしっかり憶えているということか。
人間なんてものは見かけによらず、かなりの適応力がある生き物らしい。
『南の壁面3分の2が開口部』という特徴をもつ家とつきあっていくうち、
私たちは常に外の世界を意識するようになった。
この家には、この家のよさがある。
そして外には外の、家にはないよさがある。
家の中が暑くてどうしようもなければ、
外の涼しい場所に出かけていけばいいじゃない。
家の中が、生活のすべてというわけじゃないんだから。
必要なものを家にどんどん持ち込んでくる生活から、
必要なものが出てきたら、自ら外に向かって取りに行く生活へ。
今では、家の中にではなく、家の外に涼を求めることのほうが多くなっている。
歩いて5分のコミュニティセンターは、夏のセカンドハウス。
夏季限定の屋外プールで泳ぎ、テレビに新聞、冷たい飲み物までが
用意されているロビーでくつろぎ、併設の涼しい図書室で本を読みふける。
そんな夏の生活が、今からまさに、始まろうとしている。
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