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 『9坪の家フォーラム』 written by 萩原修&萩原百合


 013 「来客」


修さん 百合さん フォーラム

9坪の家フォーラム 総集編 来客たち しんきち 村島正彦 東岩井ユカ 岡村泰之
大川三枝子 明野岳司 明野美佐子 後藤康
西山秀志 坂本眞紀 金指真人

客との接し方
客との接し方



客との接し方
実家には、玄関の格子戸を開けてすぐ左に、8畳ほどの座敷がある。
床の間があり、掛け軸がぶら下がるその部屋は、人が訪ねてきた時や、
祝いの席に使うことがほとんどで、普段使うことはめったにない。
使わないというより、むしろ、むやみに出入りしてはいけないような雰囲気が、
この部屋全体に漂っているような気がする。

父がまだ会社に勤務していた頃は、正月や盆になると、
かならず父の部下が何組かあいさつにやってきた。
そういう特別な時にこそ、座敷は威力を発揮するのだった。
父と母は、そろって玄関で客を迎える。
私はというと、奥の台所に引っ込んだまま。
「まぁ、上がってちょうだい」と客を座敷に招き入れる父の声を聞き、
やがて襖が閉まる音を耳にするのだった。

仲居さんのごとく、お茶とお菓子を盆にのせ、しずしずと廊下を歩くのは.....
もちろん、好奇心旺盛な私である。
そそーっと襖を開け、「いらっしゃいませ」とにこやかに言う。
ひとことふたこと言葉をかわすと、「どうぞ、ごゆっくり」と言い残し、
その場を離れる。
私の接客は、これで終わり。
それ以上深く、父の知人と交流することはなかった。

ところでスミレアオイハウスには、盆暮れ正月関係なく、
コンスタントに人がやってくる。
たくさん人が訪ねて来るだけで、「よくやるよ」と不思議がられ、
「見ず知らずの人もやってくる」と、ためらわずに言った日には、
「なにしてんだか」と、ますますあやしまれるのであった。
果たして、娘たちは、この現状をどう受け止めているのだろう。

「だって、家を見るのが目的でしょ。
 わけわかんない小さな子じゃあるまいし。私たちだって、事情はわかるよー」
スミレが、あっさり言う。
「別に、お父さんの知り合いが来たって、私が知ってる人だったら普通に話すしね。
 そこに集まってる人とか、話してる内容にもよるけど」

はぁ.....。そんなもんですか。

そう言われると、確かに、その場の雰囲気とか、
その時の気分・自分たちの都合によって、
娘たちの客との関わり方は、まったく違ったものになっている。
こちらが言いもしないのに、率先して紅茶をサービスしはじめることもあれば、
いつの間にか打ち合わせに加わり、意見していることもある。
あるいは、我関せずと、まったく輪の中に入ってこないことだって、もちろんある。

実は、ここだけの話、関心がないように振る舞っている時でも、
娘たちはバッチリお客さんを観察しているのだ。
そういう時は、えてして、お客さんが帰ってから、
思わぬ感想が飛び交うのであった。

おお、くわばらくわばら.....。


そんなひとコマ


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