「実家の壁、ぶちぬくらしいよ」
突然、物騒な話が舞いこんできた。
「なにそれ? 聞いてないヨ〜」
ガセネタかもしれない。さっそく、電話で確認することに。
「さすが早いですねぇ、情報が」
なんと。母は笑いながら、それを認めた。
ん〜、ナンタルチア!
両親の家を増築ならぬ減築工事したのは、つい2年前のこと。
母よ。なぜ、再び穴をあけようとする? なぜに、ぶちぬく?
おしえちくれー!
私は、とるものもとりあえず実家へと向かった。
今回のドア取りつけは
減築工事と同じく、ハジカノ&シンタロウのコンビで行うらしい。
そう、
我が家の部屋づくりの時にもテキパキ活躍した、あの二人組です。
今から2年前、築40年の家はガッツリ半分解体された。
減築工事が終了したあと、今度は解体したところを整地して
弟家族の家が新しく建てられたのです。
そして、弟の愛車を間に挟み、新しい家と古い家が並ぶことになった。
一見すると、デッキを通じて家がつながっているように見えるけど、
現在、このデッキを利用できるのは弟の家だけ。
ご覧の通り、両親の家の2階は壁。ドアがないんだもん。
つまり、今回はここにどこでもドアをつけるというわけであります。
だけど壁をぶち抜くなんて、簡単にできることかいな?
|
|
 |
「桁を削るんですか」
「構造材だから、ホントはあんまりいじらないほうがいい。
「ほどほどにします」
|
|
 |
「波板は、下からはっていくんだ」
「そう。下から」
「雨が降っても、水が入ってこないようにするためです」
|
|
 |
「あのぅ、さっきナマコをのせるって言ってましたよね。
「ナマコはどこに…?」
「ああ、外壁に使ってるトタン板、
「今はガルバリウム鋼板っていうけど、
「以前はナマコトタンって呼んでたんですよ」
「ほぅ。鋼板の昔の名前はナマコですか…」 |
|
 |
| 「シンタロウさんが、何やらじっと桁を見つめております」 |
|
 |
|
|
 |
|
|
 |
「板の角をちょちょっとカットして、
「積み木のような木片に、それぞれ『左』『右』の文字を
「入れる。
「これは、いったい…?」
「楔を入れて、はめこんだ板を前の方に押してやる。
「それから、敷居をのせていきます」 |
|
 |
「家の内側にはめこむ木枠は、
「その場でつくられていきます。
「うーん、すばらしいお手並み」 |
|
 |
|
|
 |
|
|
 |
「と思ったけど、まだ何だか作業があるんですね」
「隙間を、コーティング処理します」 |
|
 |
「マスキングテープをはがして、と。
「これで完成ですね!」 |
|
 |
「と思ったら、まだだった。
「ハジカノさん、そのやけに長いものはなに?」 |
|
 |
「壁紙です。
「ご覧の通り、最近は簡単にはれるのがあるんですよ」
「内側の仕上げが済んだね。今度こそ、完成ですね」 |
|
 |
「あじゃー。シンタロウさん。
「お風呂の手すりもたのまれてたんですか。
「いろいろすんまそーん」 |
|
 |
ハジカノさんとシンタロウさんは、
ふたりなんだけど、ひとり。
主に、現場に立って作業するのがシンタロウさん。
ハジカノさんは、サッシをガラス屋さんに発注するなど、
事前の下見をしたうえで工事に必要な材料を的確に選び、
手配するのが主な役回り。
当日、いかに段取りよく進行できるかを考える、
まさに、ダンディなダンドリー(段取り)なのです。
施工する人のことがわかっているからこそ、
ハジカノさんは、その場にぴったりのモノを探し出す。
そして、シンタロウさんは気持ちよくカタチに変えていくことができる。
まさに息の合った、絶妙なコンビです!
どこでもドアができて数日後、
スミレとアオイが実家に泊まりに行きました。
みんな、どんな様子だった?って聞いてみると…。
ス「すごーく、よく使ってたよ。
ス「いちいち靴にはきかえなくていいから便利だし、
ス「起きてるかどうかも、ドアをあければすぐわかるしね」
ア「きょうも、お昼に焼そばつくったよーって
ス「持っていってた。
ス「前より、ラクに行けていいよ。うん」
|
弟夫婦には、9月に3人目の子ども・あんずちゃんが生まれたばかり。
「もう、大助かりなんですよ〜」
電話口で、あんずママが言った。
そうか。かべぶちぬき大作戦が決行されたのは
そういう事情があったからなのか!
これからは、ドアをあけての移動はもちろんのこと、
デッキでひなたぼっことか、デッキで食事会とか、
家と家をつなぐ場そのものが主役になることも、あるんだろうね。
(*・ェ・*)ノ