第10回目のトモダチ 吉田さんのいえ 2003年11月23日訪問

吉田 眞紀さん

異色のプロダクトデザイナー。企業のデザインを引き受けながらも、自身のオリジナルプロダクトを立ち上げ、世界にむかって販路をひろげている。その質の高いステーショナリーやアクセサリーは、ファッション関係者から絶大な信頼がある。

同級生の家
シュウ
今回、『いえトモ』は調布にある吉田眞紀さんの家である。
ああ、なんだか吉田眞紀さんと書いて、指先が痒くなってきた。
実は、ぼくと吉田眞紀(ごめん『さん』とります)は、小学校からの同級生。
中学校、高校、大学までいっしょで、高校、大学は同じスキー部だった。
こんなにいっしょなのに趣味は全然違っていて、
眞紀(『吉田』もとります。ふつうぼくは彼のことを『まき』と呼ぶ)は
ぼくと違ってかなりおしゃれなヤツである。
おまけに小学校1年生から女にもてた。
(女の子と手をつないで学校に通っていたことを目撃したこともある)

こんな眞紀が、ぼくの家もデザインした小泉誠さんに
自分のマンションのリフォームをお願いしたという。
なんだか不思議である。
眞紀の家とぼくの家は、
どこが同じでどこが違うのか。
あるいは、
自身もプロダクトデザイナーである眞紀のセンスと
小泉さんのデザインがどのように融合してるのか。
そんなことを考えながらの今回の訪問だった。


駅からすぐ近くのマンションの最上階に眞紀の家はある。
夫婦ふたりの生活である。
なんだか優雅である。
玄関をあけると長い廊下がまっすぐ続いている。
その廊下の片側には収納がある。
眞紀は、たくさんの『靴』をもっている。
その靴をしまうための下駄箱がかなりの量である。
ひとり6足までというウチの下駄箱とはえらく違う。
ちなみに眞紀の足はでかい。
そのうえ扁平足である。
つちふまずがない。
ビーチサンダルのような足である。
あ、こんな話は関係ないか。



いえトモ一行は、一通りあいさつをすますと、家の中を案内してもらう。

小泉誠さんのすっきりしたデザインがなんとも気持ちいい。
間取りや素材は違っても、
なんとなく小泉さんらしさがにじみでている。
小泉さんのデザインには、これみよがしのいやらしさがない。
自己主張やびっくりさせることがデザインだと
勘違いしてるデザイナーとは、大違いである。
だからなのか、小泉さんのデザインのどこがいいのか
説明するのがとてもむずかしい。
『いいからいい』としか言えない。
小泉さんのデザインは理屈じゃなくて、感じるもの。
玄人好みのデザインなのかもしれない。

(詳しく、小泉さんのデザインを知りたいと思った人は、
最近出版された『デザインの素』 小泉誠・著 発売:ラトルズをチェックしてください)

さて、ぼくの家と眞紀の家。いったい何が同じで何が違うのだろうか?
もしかしたら、小泉さんのデザイン以外は、
家族構成も、生活のしかたも、持ち物も、すべてが違うのかもしれない。
それでも同じものがあるとしたら、それは、『気持ちのいい空間で、
気持ちよく暮らしたいという』欲求だけなのかもしれない。
人には、いろいろな欲求がある。
物欲や金欲は、少ないぼくだけど、いい空間でいい時間を過ごしたいという欲求だけは高い。

見学がひと段落すると、
今回も例によって真っ昼間から『いえノミ』がはじまる。
なんせ、吉田眞紀夫婦は、そろって酒飲みである。
酒豪と言っても間違いじゃない。

リビングの片隅には、まるでバーみたいに
いろんな種類のお酒がそろっている。
このふたりはお酒がないと生けていけないんだろうなあ。
揚げ物好きの眞紀がつくったつまみをごちそうになりながら、
本や雑誌には書いていない(書けない?)ようなおもしろい話やくだらない話や本音の話がつきることがない。
今となっては、どんな話をしたのかあまり思い出せないけど、
なんだかこういう無駄な時間が
人生を豊かにするのではないかとあらためて思った。