第11回目のトモダチ 菅原さんのいえ 2003年12月23日訪問

菅原 響子さん

大学で建築を学び、現在は設計事務所で働く。
人の紹介で、ちょっとしたアルバイトをお願いしたのが
きっかけで知り合いになる。
しっかりしているようなボケているようなつかみきれない性格。
たぶん根はまじめ。将来に関しては未知数。


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シュウ
家に『誰と住むのか』という問題は考えてみるととても難しい。
けれどもそれはとても重要なことだ。
世の中には、家は『家族で住むもの』という固定概念があるように思うけど、
それじゃあ『ひとりで住んでいる場合』は家と呼ばないかというとそんなことはないだろう。
『兄と妹で住んでいたり』『男性ふたりで住んでいる』場合もあるだろうし、
同じ家に下宿人をおいている場合もある。
大家族や親戚みんなで住むようなことだって考えられる。
もちろん、まったくの他人同志でいっしょに住むこともありえる。

今回訪問した家は、女性3人で住んでいる。
近所の人は、『京島3人娘の家』と呼ぶらしい。
ぼくが知り合いなのは、その中のひとり菅原響子さんだ。
菅原さんの家は、都営浅草線の押上。
ぼくにとっては、あまりなじみのない駅だ。
いえトモ一行は例によって、改札で待ち合わせ。
菅原さんが駅まで迎えにきてくれるという。

彼女のあとに続き、下町っぽい商店街を抜け、
さらに住宅街を歩いていくと、
10分ぐらいで目的の家にたどりつく。

そんなに遠い距離じゃないけど、なんだか道がくねくねしていて、 説明しづらい場所だ。



木造平屋のその借家は、
ビルにはさまれて、ひそかに佇んでいる。
菅原さんといっしょに住んでいるのは、
同じ大学の建築学科を卒業した2人。
3人は、ぼろぼろだった借家を自分たちで改装した。
今も住みながら少しづつ手をいれている。
リノベーションの世界では有名で、
雑誌やテレビにも出たことがあるらしい。
ぼくらが訪問した前日も、
デザイナーたちの研究会が視察に来たという。
女の子が3人で、借家を改装し、
いっしょに住んでいるのって、
世間ではまだまだ特別なことなのかもしれない。


3人の共同生活が本当のところいったいどんなものなのか、想像するしかないのだけれど、
『風呂はなくてスポーツジムをそのかわりにしている』とか、
『大家さんをはじめ近所の人に良くしてもらっている』とか
『住みながらそれぞれの仕事の合間に改装するのはどんなに大変か』とか
『改装したときにはいろいろ失敗した』などを楽しそうしゃべる彼女たちを見ていると、
なんだかこういう生活もうらやましくなってくるから不思議だ。
家って便利で快適だけがすべてではない。
自分たちの手でつくる空間とその生活体験は、
きっと彼女たちにとって大きな財産になることだろう。



その日は、ちょうど『キャンドルナイト』。
それぞれの家で電気を消して
ろうそくで過ごしてみようというイベントがあった。
近所の雑貨屋さんで買った
仏壇用のろうそくを20本以上立てて、
木造の土間空間で飲む酒は、
なんだか不思議な居酒屋に来たみたいな気分だった。
いや、それより近所の人がみたら、
あやしい宗教団体に見えたかもしれない。
今回も結構飲んで、終電ぎりぎりで帰ったので、
何を話したかはよく覚えてないけれど、
これからの家の新しいカタチを見た気分だった。
家は、家族だけが住むわけじゃない。
いろいろな人たちが住む家が
これからどんどんできるんだろうなあという実感をもった
いい夜だった。