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 『From プランターコテッジ』


 02-2 Space + architecture ← Art その2
RIKI-TRIBAL 小池雅久

私が小学生だった頃だから、大昔の話。
弟とは歳が離れていたこともあって、一人っ子の時代は長く、一人遊びは得意だったと言うか当然のこと。
まだTVゲームなどこの世に存在すらしていなかったし、遊ぶと言ったらそれは家の外で遊ぶこと。
その中でも私の一番の興味は「探検」。

当時、家の近所には驚くことに、太平洋戦争の影響で廃線になった鉄道の駅舎がまだ残っていて、
近所の人にはオンボロ駅と呼ばれていたのだけれど、
そのオンボロ駅周辺は私にとってはまさにフロンティアそのもの。
その全容を解明するのが幼き探検家に課せられた使命だと思っていたのです。
老朽化の激しいオンボロ駅には危険だから入ってはいけない、
と親や近所の人から何度も言われていたものの、危険があるところにこそ探検家の目的地がある。
なぁ〜んて、未だ見ぬものへの憧れはあきらめきれず、こっそりと忍び込んでいたのでした。

オンボロ駅には既に壁らしい壁は無く、ほとんど柱だけの状態で、
中に入ると老朽化した天井は既に抜け落ち、空はまるみえ。
天井を支えていた何本もの柱は、瓦と一緒に中央に山を築いていました。
でも、オンボロ駅の抜け落ちた天井部分から見える空は
なぜかとても高く感じました。
今でも中庭のある空間に出たりすると、
あのときの空を鮮明に思い出すことができます。

オンボロ駅の柱だけに囲まれた空間。
そこでの抜け落ちた天井までの距離。
天井の広さ。
もちろん幼き探検家はその時、空間を意識したりして見てはいませんでしたが、
それが今では私にとっての空間を把握する定規となり、
欠くことのできないものとなっているようなのです。
この定規に描かれた目盛りは私だけが読めるものですが、
きっと誰でもこんな定規を自分の中にもっているのだと思います。
その人にとって心地よい寸法はこんな定規を使って計るのでしょう。
けれども、その目盛りの読み方を忘れている人は多いのかもしれません。

探検は、駅のホームから線路が引かれていたところへも広がります。
そこは既にあたり一面"ススキ"の生息地に変わっていて、
幼い探検家の前進を阻む難所となっていました。
ただでさえ、自分の背丈よりも高いススキですから、
ススキに囲まれた空間はその場所に座り込むことで更に高さをを増し、
そこから見上げた空はオンボロ駅で見えた空よりもなぜかもっともっと大きく感じて、
探検家はとても不思議に思ったことを記憶しています。
その上、なぜかその場所がとても静かだったこともはっきりと覚えています。
ある日、ススキ野原探検中に偶然にもススキが生い茂り、ドーム状になっている場所を発見しました。
これを単純に「かまくら」とネーミングしたことは今も後悔していますが、
雪国育ちの探検家には仕方ないことでしょう。
「かまくら」の中の広さは畳1畳ぐらいだったように記憶していますが、
実際にはきっとその半分ぐらいだったかもしれません。
かまくらの中からは外側が透けて見えましたが、外からは中があまり見えないのです。
それが何故なのか不思議ではあったのですが、
それよりもこの出来事は探検家を新たな方向へと向かわせた大きな出来事となりました。

「かまくら」ははからずも「基地」づくりとの遭遇でした。
この“かまくら”との出会いが、幼き私を探検家への道から「基地」づくりの道へと
方向転換させた出来事になったのです。
それどころか、最近になって薄々自覚し始めているのですが、
どうも自分はいまだに「基地づくり」から全く抜けきれていないようなのです。
でも、サンダーバードやウルトラマンに出てきた秘密基地にワクワクした―――
記憶って、皆さんにもありませんか?
「秘密基地」と言えば、生き物の巣ってほとんどが秘密基地みたいなんですよね。
巣って言い換えれば「家」でしょ?
「秘密基地な家」なんてワクワクすると思いませんか?

 
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