はじめに
        つながり
数日が過ぎ、国立の店にはないレジにも慣れて、なんとか間違えずに打てるようになったころ、お客さんに話しかける余裕も生まれた。「ご近所ですか」「きょうはいいお天気ですね」。文字にするといかにも店員らしいが、実際はおどおどした調子でぎこちなく、素人っぽさは抜けない。ある時などは、「国立の店ですよね。なぜ神楽坂に?」と、逆にお客さんから質問された。神楽坂に遊びにきたら、つくしのロゴマークが目に入り、不思議に思って立ち寄ったと言う。店の存在を知っている人と、神楽坂で出会えたことが純粋にうれしい。「以前、ネット販売でノートを購入した者です」と言う男性が現れたときは、まじまじと顔を見つめてしまった。「私、ネットの窓口を担当しているものです!」「注文した○○です!」。リアルな場で再会できたことにお互い興奮を覚え、お客さんとの距離が一気に縮まっていくのを感じた。 たまたま通りがかって立ち寄る人。「文具カフェ」のネーミングに誘われてやってくる人。店主を訪ねてくる人。お客さんでいっぱいのカフェには、打ち合わせと称して、明るいうちからベルギービールを楽しむ店主の姿が何度も目撃された。「打ち合わせだし、これも接客のうちだし…」。またしても返す言葉が見つからないが、偶然居合わせた人同士が知り合い、新たなつながりが生まれていく様子を目の当たりにして、これこそつくし文具店の真の姿なのかもしれない、と思った。
協力/ フラスコ

TRINO DESIGN HOUSE
 
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