written by 日本住宅ワランティ(株) 小尾章夫
建物の建築を依頼し、その代金を支払う等々の約束を決めたものを工事請負契約といい、
工事の内容、請負代金の額、工事の着工や完成の時期、支払いの時期及び方法等を定めます。
そこでは「建築代金の支払い方」について、もともと次のように考えられています。
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建築工事を支障なくスムーズに進行させるために、建築現場の出来形部分(建築途中の建物)は
工事請負業者の所有物とする。
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建物が完成した後にその建築代金は建築主から工事請負業者に全額支払われ、
同時に建物は建築主に引き渡される。
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この場合には、建物が完成するまでの間、建築に必要な資金は工事請負業者(以下工務店)が
調達することになります。住宅ローンの融資は、元々このような”建物が完成した後に全額支払う”
という方法を想定しており、通常金融機関では建物完成前に住宅ローンの実行が行われることはありません。
一方で、マンションや建売住宅のように、建築主からの建物代金全額の支払いが建物が完成した後で
よいのであれば(=完成した住宅を購入する)、建築中に建築主が建築に必要な資金を調達する必要は
ないので、建物が保存・担保登記をされたのちに金融機関は建築主に融資を実行します。
<従来の支払いスケジュールと資金調達方法>
注文住宅の建築を依頼する場合は通常、建築資金の支払いには前金払いが必要となる場合が多くなります。
※前金払い・・・完成して引渡しを受ける前に代金の一部を支払うこと
※前払い金とは契約金、着手金、中間金に充たるものです。
建物が完成するまでに必要なすべての資金を工務店が調達することができれば、
建築主の負担は非常に低くなります。しかし建物を建築するためには多くの資金が必要で、
その全額を工務店だけで調達することは難しくなります。
そのため建設業法でも、その建物の工事を行う施工業者への支払いや、その建物に必要な
建材代金の支払いに充てるために、工務店が建築主から前払金を受け取ることを次のように定めています。
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第19条(建設工事の請負契約の内容)
建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際し次に掲げる事項を書面に記載し、
署名又は記名捺印をして相互に交付しなければならない。
一、工事内容
二、請負金額の額
三、工事着手の時期及び工事完成の時期
四、請負金額の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、
その支払の時期及び方法
五、・・・
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前払金とは、建築主から工務店への融資と同じ位置付けになりますので、建設業法第21条では
以下のようにも書かれています。
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第21条(契約の保証)
建設工事の請負契約において請負代金の全部又は一部の前金払をする定がなされたときは、
注文者は、建設業者に対して前金払をする前に、保証人を立てることを要求することができる。
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住宅の場合、このような保証をする例はほとんど見られませんが、
不幸にして工務店が倒産したときにその必要性が明らかになります。

工事請負契約において、建築工事現場の出来形部分には工務店に所有権があるので、その工務店に対して債権をもつもの(建材供給会社や職人さん)が占有することがあります。
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建築主が払った前払金は融資と同じ扱いになります。この建築主からの前払金は
弁済順位が低いため、全額返済される可能性は非常に低くなります。
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こうして万一工務店が倒産した場合、
“建築現場の出来形部分は債権者や施工や納材した業者に押さえられ、前払金はほとんど返ってこない”
という最悪のことが起こることがあります。